digireka!では、デジタルマーケティング領域専門の転職支援を実施しています。国内を代表する媒体・ニュースアプリといえば、キュレーションサ―ビス「グノシー」を想起される方も多いのではないでしょうか?今日は、好調な同社の2018年通期決算を読み解いていきたいと思います。
2018年通期決算概要
Gunosyの2018年5月期 決算説明資料から抜粋しています。
まず通期売上高ですが、YonY45%と大幅な増収を果たし、遂に3桁億まで売上規模を伸長させています。
通期営業利益こそ業績予想に対し△着地でしたが、それでもYonYで28%の成長を果たしています。
純利益に関しては、投資有価証券評価損7.6億円の影響でYonYで55%の減益となっています。
ちなみに、4半期ベースでは、売上高・営業利益ともに過去最高となっています。
基本的には、かなりの好調と見て間違いないでしょう。
【2018年5⽉期 連結業績】


売上高構成
次に、売上高構成を見ていきましょう。
ちなみにGunosyの主要収益源は、
・自社メディア(Gunosy/ニュースパス/LUCRA)広告である「Gunosy Ads」
・外部パートナーメディアの提供枠に広告配信できる「Gunosy NetworkAds」
・その他(子会社ゲームエイト、digwell等)
に分けられます。

昨年対比でみてみます。

昨年と比較して、アドネットワーク、その他子会社関連事業の売上構成比が増加しています。
数年前のGunosyAds一強状態から、収益基盤の多角化を着実に進めていることが分かります。
各事業の状況
Gunosy Ads
Gunosyのダウンロード数は成長速度の鈍化がみられますが、ニュースパス/LUCRAで加速化させています。

次に、MAU(Monthly Active Usersの略)の各四半期平均を見ていきましょう。

Gunosyが減少傾向にありますが、ニュースパス/LUCRAでカバーし、全体のMAUは昨対比で44%増加しています。
もう一点、着目すべきポイントは、CPA(顧客獲得単価)の減少です。

赤丸の箇所に着目してみましょう。ニュースパスのリリース前とリリース後(現在)でおおよそCPAが半減しています。
ニュースパスは、KDDIとの協業リリースになります。KDDIが保有する既存顧客に対する獲得施策になるため、プロモーションコストが抑えられたと想定されます。Gunosyが単独0ベースのプロモ―ションをかけていたのであれば、ここまでCPAを引き下げる事は出来ません。更に、Gunosy/ニュースパスのユーザー重複率は10%以内に収まっています。合理的に、コストを下げて、顧客幅を広げる事に成功しています。これが、主力サービスである「グノシー」が成熟期に差し掛かっているにも関わらず、MAU、ダウンロード数ともに大きな成長を果たした要因です。
GunocyはMAUを公開していないため、ARPU(ユーザー一人当たりの売上)を正確な数値で出すことは出来ませんが、売上高がYonYで57%・MAUがYonYで44%増加と、ARPUが減少しているとは考えにくいです。
以上より、Gunosy Adsは引き続き売上高を順調に伸長させていくことが想定されます。
Gunosy NetworkAds
Gunosyが収益源の多角化を進めていくうえで、大きな役割を果たすであろうアドネットワークに関して見ていきましょう。

CPM、インプレッションともに堅実に成長しています。配信アルゴリズムの改善に伴い、パフォーマンスが向上していることがうかがえます。
収益基盤を多角化するうえで、十分な役割を果たしていく事が想定されます。
アドネットワーク事業においては、子会社のdigwellに加え、サイバーエージェント社との協業で動画アドネットワーク事業を行う株式会社VIDPOOの設立を発表しています。アドネットワークの収益最大化に向けた、体制強化と言えるでしょう。
その他
その他に該当するゲームエイトの売上高、PV数の推移を見ていきましょう。
着実に売上高・PV共に成長傾向にあります。
今後は、体制強化、広告単価の引上げ、一層の収益機会の最大化を目指していきます。

まだまだアップサイドを引き上げるフェーズなので、収益構造上大きなインパクトがあるわけではありませんが、事業多角化を図るうえでは重要な役割を果たしています。
その他、ゲームエイトに加え、共同代表取締役CEOで創業者であった福島 良典氏が新規事業であるブロックチェーン領域にコミットする事を発表しています。
体制変更を踏まえた同社の今後の事業ドメインですは下記の通りで定義されています。

既存事業を爆発的に成長させつつ、事業の多角化をバーティカルに進める非常に合理的な経営戦略に見えます。
キャッシュリッチであることも、今後の積極的な事業展開に有利です。
総じて、今後の成長に一層の期待が持てる状況です。
本記事の引用 参照元:)株式会社Gunosy「IR情報」
まとめ
如何でしたでしょうか?巷でGunosy社とSmartNews社が対立構造で比較されることがありますが、筆者個人的には事業の多角化をバーティカルに進め、マネタイズチャネルを豊富に有するGunosy社が描く成長曲線の方が大きくなるのではないかととらえています。
合理的で市場を的確にとらえた経営戦略には脱帽です。
今後Gunosy社への転職を目指す方にとっては、まだまだ面白い経験が出来る可能性があるはずです。
【関連記事】
【サイバーエージェントへの転職を検討している人向け】2018年通期決算から、サイバーエージェントの業績について知る
【デジタルマーケッター必見】今後のアプリ市場予測についてまとめました。
