digireka!では、デジタルマーケティング領域専門の転職支援を実施しています。食べログや価格.comといえば、今や知らない人の方が少ないのではないでしょうか。日本を代表するパブリッシャーへと成長を遂げたカカクコムの2018年度通期決算を読み解いていきたいと思います。
2018年通期決算概要
まずは、決算概要から見ていきましょう。

通期業績予測比で見ると、全ての指標において未達となりますが、YonYベースで見ると営業利益率を除き、四半期、通期ベースで安定した成長を見せています。ハイライトで見てみましょう。

価格.com、食べログともに成熟期にあるサービスということもあり、緩やかではありますが着実に増収増益を積み重ねています。営業利益率も46~49%の推移と高い水準を維持しています。
売上高構成
次に、売上高構成を見ていきましょう。
カカクコムの主要収益源として、
・価格.com
・食べログ
・新興メディア・ソリューション/ファイナンス
の三つが挙げられます。
新興メディアは、icottoやキナリノ、求人ボックスなど、計15のメディアで構成されており、ファイナンスは連結子会社である価格コムインシュアランスが提供する生命保険、損害保険等の保険総合乗合代理店業務による手数料収入を指します。

価格.comが屋台骨となりつつも、徐々に食べログ、新興メディア・ソリューション/ファイナンスの売上構成比率が増加しているような状況です。
2018年に関しては、新興メディア・ソリューションにおいて通期で構成比の-がみられるものの、クオーター単位では、4Qで大きく伸長しており、この新興メディア群の成長と、引き続き成長ポテンシャルが感じられる食べログをとこまで伸ばせるかが焦点になるでしょう。
各事業の状況
各事業毎に詳しく見ていきましょう。
価格.com

価格.comの収益源は、
・物販商品比較のショッピング事業
・SIMやWi-fi、クレジットカードなど、サービス比較のサービス事業
・価格.com内の広告枠販売を行う広告事業
・本グラフに掲載されていませんが、インドネシア、フィリピン、タイ、インドで展開する海外事業
の4つに分類できます。
2018年度においては、
・ショッピング事業はユーザービリティの向上が消費財の売上高増収に寄与
・広告事業はアドネットワーク配信単価の上昇
・海外事業は月間ユーザー数の大幅な増加に伴う売上高増収
等により、全ての事業領域においてYonYベースで売上高の伸長が確認できます。
以上を踏まえた今後の戦略は下記の通りで発表されています。

上記に加え、2018年4月には、ショッピング事業において法人向け購買支援サイト「価格.com Biz」をリリースしています。サービスは成熟期を迎えており、大きなグロースを見込むことが出来ませんが、ユーザーの利便性を向上させつつ、膨大なトラフィックを活用したマネタイズチャネルの拡充を図っていることが分かります。
食べログ
次に、成熟期にありつつも、まだまだ成長ポテンシャルを持つ食べログについて見ていきましょう。

食べログの収益源は、
・広告事業
・個人向け有料会員サービスであるユーザー会員事業
・飲食店販促事業
の三つになります。
有料会員サービスの直近の会員数は下記の通りです。

ある種、頭打ちに近い状況です。むしろ減少傾向にあります。
広告事業においては、サービスのユーザービリティを考慮すると出稿枠に限りがある為、これ以上大きなボトムアップは期待できません。
ともすれば、成長ポイントは食べログの収益基盤を支える「飲食店販促事業」になります。
食べログ登録の店舗数を増やすというのは、営業マンを自社で抱えていない(代理店経由)食べログにとってみれば、営業利益を減少させる効率の悪い戦略です。重要なのは、1店舗毎の売上単価向上施策です。
そこで打ち出したのが、新プランの導入と、従量課金型の「ネット予約」です。
新プランにおいては、順調に切り替えが進んでおり、1店舗あたりの売上単価の向上に寄与しています。


加えて、ネット予約の導入は食べログの今後を左右するサービスになり得ます。
筆者も実際に食べログのネット予約を活用した経験がありますが、一度使うと二度と電話予約したくなくなります。とても便利なんですね。
ユーザービリティが高いサービスでユーザー集客力を強め、加入店舗を増やし、且つ、従量課金制で一店舗あたりの売上も増加する、理にかなったモデルです。

この、新プランの切り替えとネット予約の普及に伴い、食べログは売上増収に成功しています。
以上を踏まえた今後の戦略は、下記の通りです。

ネット予約を一層普及させることで、グルメサイトにおける圧倒的ナンバーワンを目指します。同時に、店舗数の引き上げ、店舗に対するマネタイズチャネルの拡充を図っていることが分かります。
新興メディア・ソリューション/ファイナンス
次に、価格.com、食べログに次ぐ第三の矢となり得る新興メディア・ソリューション/ファイナンスを見ていきましょう。
キナリノ、求人ボックス等の新興メディアが好調なことに加え、夜行バス比較なびを運営するLCLやエンタメ特化のクリエイティブエージェンシーであるガイエを連結にしたことで、大幅な増収を遂げています。

各メディア順調にトラフィックを増やしています。運営メディアの数が多いので、このまま順調にトラフィックを増やし続ければ、同社にとって大きな収益基盤となるでしょう。以上を踏まえた今後の戦略は下記の通りです。

要は、どんどんサービス開発していくよ、成長フェーズに併せたマネタイズ戦略取ります、M&A含め、社外リソースの検討も適宜しますといった内容です。
同社の圧倒的な強みであるメディアグロースのノウハウを活かして、引き続き第三の矢の創出に向けた動きをとっていくことが想定されます。
まとめ
いかがでしたでしょうか?今日は、日本を代表するパブリッシャーであるカカクコムの決算についてまとめていきました。強みを存分に生かしつつ、健全な財務体制のもと新規事業の創出を次々に実施しています。非常に安定した経営です。
カカクコムへの転職を検討している人は、是非参考にしてみてください。
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本記事の引用・参照元:)株式会社カカクコム「IR情報」
