digireka!では、デジタルマーケティング領域専門の転職支援を実施しています。今やデジタルマーケティング業界を語るうえでなくてはならない存在となったLINEですが、業績はどのように推移しているのでしょうか。先日発表された第3四半期決算資料を基に業績についてまとめました。LINEへの転職を検討している方は、是非参考にしてみてください。
2018年第3四半期決算概要
引き続き売上収益は着実に伸長しています。一方、営業利益は36億円の赤字となり、YonYでも減少しています。
LINEの事業は、コア事業(広告/ゲーム等のコミュニケーション・コンテンツ・その他)と戦略事業(コマース/Fintech/スマートスピーカー)に分けられます。
コア事業の売上収益は緩やかながらも前年、前Q対比で伸長しています。営業利益は前年、前Q対比で減少です。
投資事業である戦略事業においては、売上収益を前年、前Q対比で大きく伸長させています。ただし、88億円の赤字計上となっています。

売上収益構成
売上収益構成ですが、コア事業が8.6割、残りの1.4割を戦略事業が占めています。
LINEの売上収益の半分は広告事業であることが分かります。
また、地域別の売上収益においては、国内7割、海外3割の比率となっています。

営業利益についても見ていきましょう。
コア事業、戦略事業ともに年々赤字が拡大しています。
いずれの事業においても、収益は伸長しているものの、同時に赤字も増加していることが読み取れます。

MAU推移
各事業毎の状況を確認する前に、MAUの推移について見ておきましょう。
海外展開を積極的に進めているLINEですが、主要4ヶ国のMAUは減少傾向です。主要各国に関しては既にサービスの成熟期にあり、これ以上大きくMAUが増加する見込みは大きくないでしょう。国内のMAU率は非常に高く85%となっています。

各事業の状況
各事業毎に見ていきましょう。
コア事業(広告)

売上収益が前Q対比で若干減少しています。これは、運用型広告配信プラットフォーム「LINE Ads Platform」において、システムの大幅な刷新を実施している影響で、広告単価向上の為の施策を保留しているためです。今回の刷新に伴い、DPA(ダイナミック広告)のサービス拡充や、利用データの計測を可能にするLINE Tagの提供、LINEの法人向けアカウント広告とのターゲティング連携を通じてユーザーへの最適化を行えるMAの提供などを発表しています。これらの移行が完了し、各戦略事業とのデータ連携も進むとすれば、日本最大級のビッグデータ活用が可能な広告プラットフォームへと進化を遂げるかもしれません。
コア事業(コミュニケーション・コンテンツ・その他)

LINE GAME、LINEマンガ、LINE MUSIC等のコンテンツの売上収益が中心となっています。昨年対比で売上収益は微増です。ただし、LINEマンガやLINE MUSICのユーザー数は大幅に増加しており、今後に期待できます。コンテンツ領域に関しては、ヒットタイトルを生み出せるか否かが重要であるため、引き続きコンテンツ拡充を続けていくことが想定されます。
LINE QUICK GAMEシリーズは、専用アプリのダウンロードが不要で、LINEのトーク画面上でプレイ可能なコンテンツです。9月にリリースしたばかりで、今回の決算発表資料にもピックアップされていますが、本日(2018年11月6日)一か月サービス提供を停止することを発表しています。これに伴い、LINEの株価は大幅続落し、上場来最安値に迫る3300円(6%安)となっています。
原因はアップルのアプリ配信サービス「アップストア」の審査で起きた問題に起因するようです。
コンテンツ拡充施策として満を持してリリースされたLINE QUICK GAMEシリーズですが、リリース早々出鼻をくじかれるスタートとなりました。
戦略事業
LINEは、2017年通期決算において
・広告
・Fintech
・AI
の3領域を重点戦略領域として位置づけることを発表しています。

では、LINEの中長期戦略において重要とされているFintech領域の状況を見ていきましょう。
戦略事業(Fintech)

Fintech領域の中核を担うLINE Payの決済高は、YonYで大幅に増加しています。
各国で順調に拡大傾向で、国内においてはLINE Pay対応予定箇所が92万箇所を突破し、加盟店の獲得も順調です。
台湾でもMAUが増加しており、タイでは交通カードRabbitとの連携も開始されています。
そして同社は、非常に好調な進捗を見せるLINE Payを起点として、Fintech新サービスの展開を進めています。

高いMAU率を誇るLINEが決済面を抑えることで得られるデータの資産価値は非常に大きいものです。これに加え同社では、2018年10月より、独自の仮想通貨「LINK」の取扱いを開始しています。

LINEブロックチェーン上にDApps(分散型アプリケーション)を提供することで、トークンエコノミーと相性の良いCGMサービスとの連携を実施し、サービスに貢献したユーザーに対して独自通貨を発行しインセンティブを設ける仕組みです。LINE内のみならず様々な外部サービスと連携を図っていく構想を発表しています。今後、DAppsのサービス拡充を続け、LINKエコシステムの拡張を目指していくことが想定されます。
戦略事業(AI)

LINEのAI領域の要であるスマートスピーカー「Clova」ですが、kit公開に伴い、スキル数の大幅増加が公表されています。スキルとは、スマホでいうところのアプリのようなもので、スキルの増加はすなわち、利用範囲の拡大を意味します。利用範囲の拡大とはすなわち、取得データ範囲の拡大や、ユーザーとの購買接点の拡大を意味します。競合であるAmazonやGoogleも同様にスキルの拡大を進めており、シェアで劣るLINEがどのようにスマートスピーカー展開を進めていくのか、今後も注目です。
今後の戦略について
下記図は2017年通期決算にて発表された今後の戦略です。

MAUを見てもらっても分かる通り、今後中長期的に見て、日本でのユーザー数が飛躍的に向上することは想定しづらいです。
ともすれば、
広告事業においては、
「新LINE Ads Platform」への移行を完了させ、広告パフォーマンス/広告単価の向上を目指していることと想定されます。
加えて、国内最大級のマーケティングデータプラットフォームとして一気通貫で顧客の獲得からCRM戦略までをカバーするプラットフォームを目指しているものと考えられます。
海外展開も引き続き積極的に進めていく事でしょう。
さらに、決済・トークンエコノミー・AI領域への投資を続け、プラットフォーマーとしての拡大を目指します。
戦略事業領域においては、国外最大のライバルGAMFA勢(Google、Apple、Microsoft
まとめ
如何でしたでしょうか?今日は、2018年第3四半期決算資料を基に、国内最大級のプラットフォーマーであるLINEの業績についてまとめました。
サービス成熟期の現在、
・グローバルにユーザーを増加させる
・ありとあらゆるユーザー接点を抑える
ことが重要です。
戦略事業領域での進捗は特に、今後も目が離せません。
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本記事の引用・参照元:)LINE株式会社「IRライブラリー」
